去年後半あたりから小学生時以来の自転車トライアルを再開し、やっと念願のダニエルが2~3回できるようになった凄すぎる。できたその日から腱鞘炎になった。
達成するにあたりYouTubeでいろんな解説動画を見た。上手な人がみんな共通してい言ってんのは脱力するということで、それを言われたとて上手く力が抜けるわけでもなくカチコチの体で軸がぶれまくりながらもやるしかねーと思いながらやっていた。なぜやるしかねーのか。意味がねーからだ。
出来る気がしないため、コツがもっと欲しいぜと練習前練習後に解説動画を探していると、トライアル上手な人が、その上手さゆえに出来てしまえちゃうからいろいろ端折ってざっくりと「脱力」やら「リラックス」ぐらいしか言ってくれないなか、とある上手な人が、その人も「脱力」が大事とは言っていたが、「認識のコマ数を増やす」というパンチラインを言ってくれた。そこでおれはおれなりに合点がいきまくって、おれはおれだけを説き伏せれる解釈をこしらえることができた。
脱力とはつまり、落ち着いて意識のフレームレートをあげることであると。
歩くときでもそう、右足をだしてその次は左足、のつぎは右足と繰り返すわけだが、次の足を出そうとしているほんの一瞬の一本足になってるその間にも、フレームレートをあげれば「いまおれは空(くう)を跨いでるわけやな」と意識をめぐらせることができる。
飛び上がることだけしか頭になかったのに勝手に納得できた途端、飛び上がるまでのタメの時間がくっきり認識できるようになった。ダニエルのコツは焦って飛ぼうとしないことだ。一連の動きとしてまとめてパッケージするのではなくセパレートにしてそのひとつひとつの動作に意識を向ける。これや!
チャリキやらランニングやらスポーツに限らず映画やドラマレビューとかでも、解説動画を出してくれてる人ってすごい。だって、とりあえずやってみろとかとりあえず見てみろとしか言えないはずなのに、個人の感想の域をでないかもしれない言葉をがんばって紡いでいる。
そもそも個人の体験を言葉に変換してしまったその時点で大きな嘘というか捨象をやってしまってる。なのに汲み取ってしまえている。この世に正しい解釈などなく人の数だけ曲解がありそこで勝手に納得し、結果もでるのはすごい。
YouTubeで『おもんない ヒーローインタビュー』で検索すると一番上に出てくるプロ野球選手が去年のエムワンのえみくじを引いてて、今田耕司にコメントを振られても「最高でした」ぐらいしか言わずおれはかなりムカついていたのだが、彼は彼なりに、感想を言葉にしてしまうことでこぼれおちるさまざまが心苦しくて、あえて語彙を絞って自分に誠実であろうとしているのかなとフレームレートのあがったおれは思えるようになった。
あと技術的なコツより、心構えとしてのコツ、「ビビらない」ってのが絶対一番重要。そのせいで死ぬこともあるかもしれないが。
さようなら