ゴムボート

水木しげる

二匹目

この子猫はここ数週間いつも同じ歩道の植え込みに鎮座し、視界に入るすべての落ち葉やネパールカレー屋のチラシに手刀をおみまいし、歩行者全員に愛想をふりかけていた。これから寒くなるしそしたら死すのだろうなと思うと眠れなくなって、聖者のおれは夜中25時に迎えにいってやった

首根っこ掴んでさらっちまえるぐらいなついていたのだが、そんな強行をせんでも勝手に家までついてきたので非常にチョロかった

 

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先住が受け入れてくれるかだけ懸念していたが

対面させると野郎だと悟ったのかノーリアクションだった。

お前はほとんどゴロゴロ喉を鳴らしてくれたことがないが、そういった寛大な一面もあるのだな、と誇らしくなった。

 

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子猫の方は6歳の猫に興味しかない様子で一日中ちょっかいをかけている。そのたびに低く唸られて小突かれているが、子猫は体勢を低くし、めげずにケツを振ってからの突進を無限に繰り返している。

6歳の2倍飯を食べるから2倍ウンコもするし信じられないスピードで走り回っている

 

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キンタマも喉のゴロゴロ音もでかい!

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去勢してやるからな!

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さようなら