ゴムボート

水木しげる

前半赤字のところまでが事実の話

健康診断にむけ常食の菓子パンや低俗な準チョコレート、超生命体飲料ライフガードの飲食は避け、しばらく納豆ばかり食べていた。大方納豆で構成されたのであろう糞をひり出し検便キットのようじで突き刺す、細いケースへ引き取ろうとしたところ、糞はすくっと持ち上がり離れようとしなかった。私だってこう粘り強く生きたいものだと、まさにクソのようなチープな感銘を受けたわきゃねえが、納豆食は付け焼き刃じゃなかったぜこいつぁ近隣町人に拝ませてやらんとなと一念発起した私は、聖火よろしくかかげたその聖糞(せいぷん)右手に社会に飛び出した。市井は各々おうちじかんを過ごしており、加えてこの気温ときたもんでさ真っ昼間にも関わらず閑散、鋭角のモニュメントがあるような開けた場所へ向かったとて、イラレでいじったかのような無人で寧謐な光景が広がっていた。聖糞持てあました私は誠に恥ずべきことなのだが「クソっ」とつぶやく、(このうっかりダジャレのような、期せずして何某かとそれに近似した対象をかけてしまうそれを、ダサいものとする価値観を膾炙させたのってもしかしてあの松っちゃんなのだろうか?次回は必ず都知事選に行ってください)途端過ちに気づいた私は人知れず赤面し、(両耳上部の内から加熱されてく感覚により鏡がなくともなんとなく赤面してるな、って感覚で赤面であることがわかる)それは止むことはなかった。熱中症である。時既に遅く、先に頭蓋の中でむされた脳はそぼろ状に固くなり、まともな思考もできなくなった私は帰り道や愛猫の模様さえ思い描くことができず、いつのまにか背を熱された路面にあずけ、ごねる小2のように数分バタバタ足掻いたあとネットでよく見る乾物のエイの裏側みたいにパッサパサに干からびた。オリンピックは体育館でやれ

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さようなら