ゴムボート

水木しげる

なら買え

この堅牢テカテカな建てもんは私が普段から利用させてもらってる図書館で、向こうに立ってる人がいるでしょあそこが返却貸出カウンター

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実際は入り口から返却カウンターまでこんぐらい遠い。この図書館に本を返しに行くのが非常に億劫なんですよ、充分にエントランスが開けていて見通しが良すぎるせいで、かなり早めの段階で返却カウンターの奥に座ってる司書の方に気づかれっから。返却スべき本を携えてはいるものの、そうなったらかなり手持ち無沙汰になる。

「本を返しに来た」というの限定されやすい目的を持った人間が遠くから歩んで来てる、それを満を持して受け取ろうという人間がいる。

駆け引きもなにもなくて、最初から見透かされてるこの一連が耐えられない、こんなわかりきったこと早く済ませたい。彼方のカウンターに到着できるまでの間、私はずれてもない眼鏡を直してみたり痒くもない後頭部やもみあげを掻いたり、肩に掛けてるトートバックを用事があるみたいにかき混ぜたりして、ただ鍵の音を鳴らしたりする。鼻だけで咳き込んでみたりもする。それでもなお、カウンターには至れてないので、非常口の緑の発色や、ラミネートされた案内図などに、取ってつけたような視線を注いで、そこに自意識を逃している。ぎこちなさを悟られんように。

ほんでやっとカウンターに着いたら、お、どうも、こんなとこにいたんすね返しに参りました、と今しがた司書の存在に気づいたみたいに、小さく頭を下げる。司書もかなり早めにこちらの気配を感じいてただろうに、迎い入れの態勢をここぞというタイミングで展開する、つまり気を使ってくれている。

なんぞやこの芝居は。馬鹿馬鹿しい。これが何度も続いたので本は閉館時にのみ使える返却ポストに入れるようにしている。

自意識を彷徨わせられる大義として、入り口から返却カウンターまでの間に、蛇の脱殻とか、でかくて鋭利なかき揚げとか、チョロQもったまま寝そべってるおじいさんとか、腕組んでつっ立ってる井筒監督など、注視に値するイベントを点在させておいてくれたら、開館時でも勇気を振り絞るまでもなく返却にむかえるんですけどね

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ヤモリのような猫だ

 

昨日、題が「おっぱい」で、ぱっと見おっぱいに空目してしまいそうな画像を載せただけのやつをあげたら、閲覧者数がまじで普段の二倍になったんでちょろいっすね

 さようなら